COLUMN
多治見モザイクタイルミュージアム客を自店に呼ぶWeb集客術
岐阜県多治見市笠原町にある多治見市モザイクタイルミュージアムは、2016年6月の開館以来、建築家・藤森照信氏が手がけた独特な建物(タイルの原料を掘り出す採土場をモチーフにした外観)とタイルアートで、国内外から観光客を集める東濃エリアのランドマークです。開館後1か月で来館者は1万人を超え、開館2年目には累計30万人を突破しました。
ミュージアムの周辺には、カフェや雑貨店、陶磁器を扱う店など魅力的な店舗がありますが、「目の前を観光客が通り過ぎるのに、自店には立ち寄ってもらえない」という声をよく聞きます。問題は看板ではなく、遠方客や外国人観光客が旅程を組む「スマホの画面上」に、自店の情報が載っていないことにあります。
本記事では、費用をほぼかけずにできる「Googleビジネスプロフィールの多言語整備」「Instagramの英語ハッシュタグ活用」「NAP情報の統一」の3点セットで、ミュージアム来場者を自店へ誘導する具体的な手順を、岐阜・東海エリアの店舗オーナー向けにまとめます。
なぜミュージアム来場者が自店に来ないのか
遠方から来る観光客の多くは、現地に着く前にスマホで行き先を決めています。「多治見 カフェ」「タイルミュージアム 周辺 ランチ」と検索し、Googleマップに保存したリストを見ながら移動するのが一般的な行動です。この段階で検索結果やマップ上に表示されない店舗は、観光客にとっては存在していないのと同じになってしまいます。
これは外国人観光客でも同じです。日本政府観光局(JNTO)の訪日外国人消費動向調査(2024年1〜3月期)では、出発前に役立った旅行情報源として「SNS」を挙げた割合が39.1%に達し、情報源の中でトップでした。InstagramやGoogle検索で事前に行き先を決めてから現地を訪れるスタイルが主流になっています。
つまり、看板や口コミだけに頼るのではなく、観光客が「調べる前」「移動する前」の段階で、スマホに自店の情報を届けておくことが、立ち寄りにつなげる第一歩です。
Googleビジネスプロフィールで「動線」を作る
無料で最も効果が高いのが、Googleビジネスプロフィール(Googleマップ上の店舗情報)の整備です。ミュージアムから徒歩圏内の店舗なら、「モザイクタイルミュージアム周辺」を探す検索に表示されるチャンスがあり、立地のよさをそのまま集客力に変えられます。
行政の取り組みでも効果が出ています。群馬県中之条町は観光名所28か所をGoogleビジネスプロフィールに登録・整備した結果、人気スポットでは1か所あたり月間1〜2万人規模で情報が閲覧されるようになりました(奥四万湖で月間約2万人、河原の湯で約1.5万人)。店舗単位でも同様で、北関東を中心に飲食店を展開する株式会社ボストンハウスは、全店でGoogleビジネスプロフィールの投稿を強化した結果、合計検索数が前年比179.9%(約1.8倍)に伸びています。
Googleビジネスプロフィール整備の5ステップ:
- Googleアカウントでログインし「Googleビジネスプロフィール」に店舗を登録する(無料)
- 店名・住所・電話番号を、公式サイトやSNSと一字一句そろえて入力する
- 営業時間・定休日を正確に入力し、店舗説明に英語の一文を加える
- 店内・商品・外観の写真を最低10枚登録する(明るく解像度の高い写真を選ぶ)
- 口コミには72時間以内に返信する。外国語の口コミには英語と日本語を併記する
費用はゼロ、必要なのは最初の1〜2時間の作業だけです。
Instagramの英語ハッシュタグで外国人ファンを増やす
Instagramは、訪日前の外国人観光客が「行き先探し」に使う代表的なツールです。京都・清水寺の参道にある舞妓変身スタジオ四季のように、日本語と英語を併記したプロフィールや英語対応サイトを整え、海外の利用者にも見つけてもらえるよう発信している店舗は珍しくありません。
多治見・笠原エリアのタイル雑貨店やカフェなら、次のようなハッシュタグの組み合わせが有効です。
- 日本語:#多治見 #モザイクタイルミュージアム #タイル雑貨 #岐阜観光
- 英語:#MosaicTileMuseum #Tajimi #GifuJapan #JapanTravel
ポイントは、投稿に英語のキャプションを1〜2行添えるだけでも届く範囲が変わることです。「焼きたてタイルクッキー 350円」なら「Freshly baked tile-shaped cookie ¥350 — only in Tajimi!」と一言加えるだけで、外国人観光客にも伝わる投稿になります。
投稿頻度は週2〜3回が目安です。まとめて投稿するより、定期的に続けるほうが効果的です。投稿の予約管理やデータ分析には、Meta社の公式無料ツールMeta Business Suiteを使えば、投稿予約とインサイト(リーチ数・保存数などの分析)を一括で管理できます。
つまずきやすい3つの落とし穴
インバウンド対策に取り組んでも効果が出ない場合、次の3つが原因になりがちです。
落とし穴1:NAP情報の不統一
NAP(Name・Address・Phone=店名・住所・電話番号)が、Googleビジネスプロフィール・公式サイト・グルメサイトなどで微妙に違うと、Googleからの信頼性評価が下がり、検索表示に悪影響が出ます。「株式会社」と「(株)」の違いや、番地・ハイフンの表記ゆれも対象です。まずは全媒体を見比べて表記を統一しましょう。
落とし穴2:機械翻訳のまま使う
翻訳ツールで英語・中国語対応をしたつもりでも、不自然な訳文がかえって不信感を与えることがあります。特にメニュー名の直訳は伝わりにくく、誤解のもとです。たとえば岐阜・東濃の銘菓「栗きんとん」は、直訳するより「Kuri-kinton(mashed sweet chestnut confection)」のようにローマ字表記+短い英語説明を添えるほうが正確に伝わります。
落とし穴3:口コミの見返りに特典を渡す
「口コミを書いてくれたらドリンク1杯無料」といった特典提供は、Googleのポリシー違反にあたるうえ、日本でも景品表示法のステマ規制の対象となり、行政処分の事例も出ています。口コミは見返りで集めるのではなく、「QRコードで口コミ投稿ページに案内する」「会計後に『感想をGoogleに書いていただけると励みになります』と一言添える」程度にとどめるのが安全です。
今日から始める集客ロードマップ
マーケティング担当がいない店舗でも、1〜2週間で着手できる手順です。費用は基本的に無料です。
- Step 1(約1時間):Googleビジネスプロフィールに登録し、店名・住所・電話番号・営業時間を入力。店舗説明に英語の一文を加える
- Step 2(約30分):店内・外観・商品の写真を10枚以上アップロード。「タイルが見える写真」を必ず1枚入れる
- Step 3(約30分):Instagramを開設または確認し、プロフィールに英語の店舗紹介と「5 min walk from Mosaic Tile Museum」などアクセス情報を記載する
- Step 4(翌日から):週2回の投稿を開始。英語1〜2行のキャプションと #MosaicTileMuseum を付ける
- Step 5(1週間後):Googleビジネスプロフィールのインサイトで「どの検索語で表示されたか」を確認し、投稿に反映する
成果はすぐには出ません。石川県・和倉温泉の老舗旅館「加賀屋」がFacebookで1.5万件規模の「いいね」を積み上げたように、SNSやマップの効果は継続によって積み上がっていくものです。3〜6か月続けることで、検索表示の回数や口コミが少しずつ増えていきます。
まとめ
多治見市モザイクタイルミュージアムは、笠原エリアの店舗にとってこれ以上ない「集客装置」です。その恩恵を受ける鍵は、観光客がスマホで調べる前の段階に、自店の情報を正確に届けておくことにあります。
Googleビジネスプロフィールの多言語整備・Instagramの英語ハッシュタグ投稿・NAP情報の統一は、いずれも費用をほぼかけずに始められる施策です。1か月で劇的な変化は出なくても、続ければ口コミが積み上がり、検索表示の回数が増えていきます。
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